高齢でも持ち家を購入する方法は?必要な資金計画や選び方も解説

高齢

金谷 三月三

筆者 金谷 三月三

金谷  三月三(カナヤ  ミツミ)  40代


年齢を重ねても「持ち家がほしい」と考える方は少なくありません。しかし、高齢で住宅を購入することは、本当に可能なのでしょうか?資金や将来の安心、住みやすさなど、不安や疑問を感じる方も多いはずです。この記事では、「高齢でも持ち家を手に入れる方法」について、分かりやすく解説します。高齢になってからの住まい購入を検討するために知っておきたい基礎知識や注意点を整理しました。安心して老後を過ごすための第一歩を一緒に考えてみませんか。

高齢でも持ち家を購入する意義と背景

高齢世代における持ち家の所有割合は非常に高く、総務省の平成30年住宅・土地統計調査によれば、高齢者がいる世帯の持ち家率は約81.6%、高齢単身世帯でも66.2%と、国民全体の持ち家率より明らかに高い傾向がうかがえます 。

こうした背景には、住宅ローンを完済すれば住居費が抑えられ、固定資産として資産価値を維持できる点が挙げられます。さらに自宅を担保にしたリバースモーゲージなどの仕組みもあり、老後の資金不足に備える選択肢として注目されています 。

高齢の段階で持ち家取得を検討される動機としては、老後の生活安心や資産形成、介護や移住などライフステージの変化に備えた住まいの安定への意識が高いことが考えられます。住み慣れた環境を尊重しつつ、経済的・精神的安定を図るための手段として、住まいの取得に踏み切る方が増えているようです 。

項目内容理由
持ち家所有率約81.6%(高齢者世帯)老後の安心、資産形成
経済的負担軽減住宅ローン完済後は住居費が減少生活資金にゆとりが生まれる
資産価値の確保不動産が資産となる売却や貸出も可能

資金計画の立て方と選べる資金調達の方法

まずは、ご自身の退職金や貯蓄などの自己資金を整理し、老後の生活費とのバランスをしっかり把握することが重要です。高齢で住宅購入を検討する場合、無理のない返済計画を立てるためにも、「老後の生活資金をどれだけ確保できるか」が資金計画の前提となります。

次に、高齢でも利用可能な融資手段として「リバースモーゲージ」や「親子リレーローン」があります。リバースモーゲージは、持ち家を担保に融資を受け、返済は死亡時などに一括で行う仕組みで、生活資金の確保に活用できます(出典元の情報参照)…

融資の種類 概要 ポイント
リバースモーゲージ 持ち家を担保に融資、返済は死亡時などに一括 無理なく資金を確保できるが、相続との関係に注意
親子リレーローン 最初は親が返済し、後に子が返済を引き継ぐローン 収入合算や返済期間の延長で返済負担を抑えられます(親子双方が住宅ローン控除を受けられる)
通常の住宅ローン 申込時・完済時の年齢制限がある 高齢では返済期間が短くなりがちで、毎月負担が増える可能性

さらに、住宅ローンを無理なく返済するには、返済可能な期間と月々の負担額を見積もることが大切です。通常、住宅ローンは完済時の年齢が80歳未満と設定されているケースが多く、高齢では返済期間が短くなるため、毎月の返済額が大きくなりやすいです。一方、親子リレーローンでは子世代の年齢を基準に返済期間を設定できるため、最長35年までのローンを組めるケースもあり、返済負担を軽減できます 。

また、親子リレーローンでは、親子それぞれが負担割合に応じて住宅ローン控除を受けられるため、税制上のメリットもあります 。ただし、団体信用生命保険(団信)は子だけが加入するケースが多く、親が返済中に万が一のことがあった場合、子に返済が一括で引き継がれるリスクもあります 。

こうした点を踏まえ、資金計画では、自己資金と融資のバランス、返済期間・月々負担額、税制優遇の活用、リスクに備える保険加入も検討して、無理のない設計を心がけましょう。

高齢者に適した住まいの選び方

高齢者が安心して住み続けられる持ち家を選ぶ際には、以下の三つのポイントに着目することが重要です。

項目理由具体的視点
バリアフリー対応等の設備 転倒事故の防止や介護への備え 段差解消、手すりの設置、滑りにくい床材など
立地・利便性 生活の安全性と将来の安心につながる 駅や医療機関、日常商業施設への近さ
将来の介護や生活変化への対応力 長期的な安心を確保できる ワンフロア・エレベーターの有無、共用サービスの有無など

まず、バリアフリー対応された住まいは、高齢になるにつれて増える家庭内での転倒などの事故を未然に防ぐ工夫が施されており、自立した暮らしを長く支える役割を果たします。具体的には、段差の解消や手すりの設置、滑りにくい床材などが挙げられます。

次に、立地や利便性は毎日の暮らしの質を左右します。公共交通機関が近い、買い物や通院に便利といった要素は、移動が負担になりがちな高齢期に必要不可欠です。特にマンションは、こうした立地の良さが大きな魅力となります。

最後に、将来的な変化とも見通しながら住まいを選ぶことが重要です。ワンフロアで動線がコンパクトな間取り、エレベーターや見守りサービスの設備があれば、介護や体力低下が起こっても安心です。マンションでは管理会社が共用施設の維持・清掃を行うケースもあり、負担の軽減につながります。

高齢で持ち家の購入を成功させるステップと注意点

人生経験を重ねた高齢の方が、持ち家購入を成功させるためには、練られたステップと留意点の把握が重要です。

まず、専門家やファイナンシャルプランナー(FP)などへ相談し、無理のない購入計画を立てることが大切です。高齢の場合、住宅ローン審査において年齢制限があることが多く、リバースモーゲージなど特有の融資方法も選択肢になりますが、制度の仕組みや返済方法を十分理解しておく必要があります 。

次に、購入後にかかる維持費を見込み、余裕ある資金設計を構築することが欠かせません。固定資産税や都市計画税、修繕・メンテナンス費、火災保険・地震保険など、年間で数十万円〜数百万円単位の支出となることがあり、将来的な負担増にも備えておく必要があります 。

最後に、購入のタイミングや将来の住み替えを含めた展望を視野に入れましょう。高齢になってからの購入は、例えば施設利用や介護の必要性が増す将来とリンクさせた住まい選びが重要です。不動産投資や資金計画との関係も含めて、自身のライフプラン全体を踏まえて検討することが望ましいです。

以下は、成功のためのステップと注意点を整理した表です:

ステップ・注意点 内容
専門家への相談 ファイナンシャルプランナーや住宅ローン担当と計画を立てる
資金設計 固定資産税や保険、修繕など購入後の費用を見込む
将来展望の確認 住み替えや介護の必要性などを含めた長期的視点で検討

まとめ

高齢になってから持ち家の購入を検討される方は、安心して暮らせる将来のために多くの選択肢と可能性があることをご理解いただけたかと思います。資金計画や住まい選び、購入後の暮らしに至るまで、ひとつひとつのポイントを丁寧に押さえて進めれば、年齢を重ねても無理なく理想の住まいが実現できます。住まい選びは今後の暮らしを豊かにする大切な機会ですので、慎重かつ前向きに取り組んでいただくことをおすすめします。

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